脱力で生きていくためのブログ

プログラマーの雑記になります。書評多し。技術少なし。

書評:「学力」の経済学(中室 牧子)

 

若年層の学力低下が問題になっているらしい。

 

そのためなのか分からないが、世間では3兄弟全員を東大に入れた母親が書いた本が売れているらしい。

 

しかし、今の日本教育に必要な物は3兄弟全員を東大に入れた母親という特殊かつ、感覚的なものだろうか。

 

実際の日本教育に必要な物は、感覚的なものではないデータに基づいた学力の知見が必要とされているのではないだろうか?

 

そういったデータに基づく教育の知見を「学力の経済」は提供してくれます。

 

この本の中で取り上げられるものには、例えば50%以上の東大生の世帯平均年収は1000万以上などがあります。

ちなみに、現在の日本全体の平均年収は550万円前後になります。

(統計的には、ここで比べるのは平均(Average)よりも中央値(Median)で比べることが大切だと思います。日本の世帯平均年収の中央値は430万円前後になります。)

 

これにより、子どもの学歴は親の年収によるところが大きいことが分かります。

 

※決して、東大3人兄弟の母親の本を読むよりも、自身の年収を上げた方が良いとは言っておりません。

 

子どもの学歴が親の年収によるということは、格差問題にも通ずる問題だと思いますが、一番の問題は「学力の経済学」で取り上げられるような知見(統計学的事実)が教育の現場で使用されていないことだと思います。

 

その中で、「学力の経済学」で読んで見えてきた日本教育の問題は以下の2点かなと思いました。

 

1,なぜか統計学的事実を使用した教育方針が取られない。

2,統計学を使用したデータが取られていない。もしくは情報が開示されていない。

 

1の問題おいては、ゆとり教育か詰め込み教育かの議論で特に顕著だったと思います。

ゆとり時代の教育費は明らかに減少しています。

その事実を踏まえないで、ゆとり教育にすべての責任を取らせることは早計だったと思います。(もちろん、統計的なデータをとってみたら、ゆとり教育に学力低下の原因ががある可能性はありますが。)

 

2の問題については、学力テストに顕著かなと思います。

学力テストが統計的に処理されていることをみたことがありません。あっても、無意味な都道府県別の順位です。

「学力の経済学」にも掲載されていましたが、学力テストには私立の学校は含まれていません。

私立の学校には相対的に頭の良い子どもが通うので、そういった土壌がある都市部(東京や神奈川)は、頭の良い子どものテストが反映されないため、点数が低くなる傾向があります。

 

また、そういった統計的なデータを取ることを良しとしない風潮もあります。

やれ子どもは実験動物ではないや、やれ実験で失敗した子どもの人生はどうなるやらと、教育のデータを取ることにやたらとイチャモンが付けられます。

 

でも、一番の不幸は失敗が長年続くことです。

そして、失敗か成功かは統計的に証拠をとることしかできないです。

 

日本の教育現場はしっかりとデータを取り、一番良い教育を目指すべきだと思います。

 

 

「学力の経済学」は、日本教育の問題と教育の統計的事実を教えてくれます。

特に子の親の多くは教育について興味があると思いますので、ぜひこの本を手にとっていただきたいです。

 

「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

 

以上