読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

脱力で生きていくためのブログ

プログラマーの雑記になります。書評多し。技術少なし。

書評:女のいない男たち(村上 春樹)

Book review

日本を代表する小説家である村上春樹さんの短編小説集です。

 

この短編小説集に入っている短編小説は以下のものになります。

 ・ドライブ・マイ・カー

・イエスタディ

・独立器官

・シェエラザード

・木野

・女のいない男たち

 

この本の題名「女のいない男たち」通り、この本に入っている小説は男女関係に関するものになっています。

 

村上春樹さんもまえがきで以下のようなことに書かれています。

 

しかし本書の場合はより即物的に、文字通り「女のいない男たち」なのだ。いろんな事情で女性に去られてしまった男たち、あるいは去られようとしている男たち。 

 

そう、この「女のいない男たち」は寂しい男たちに焦点を当てた作品集になっているのです。 

 

 

これまで、村上春樹さんの小説を長編、短編含めてほぼ読んできた人間からすると、最近の村上春樹さんの小説は、以前の小説(1Q89前後ぐらいから)とは少し異なるような気がします。

「女のいない男たち」も同様に以前の小説とは少し様相が異なるような気がしました。

 

今までの短編小説とは違い、「女のいない男たち」に入っている短編小説は少し文体は固くなっています。

そういった点において、 村上春樹さんが以前に書かれた「神の子どもたちはみな踊る」や「東京奇譚集」に入っている短編小説とは少し異なっています。

もちろん、村上春樹さんが書かれる小説の特徴といえるような音楽や映画の固有名詞はたくさんでてきます。

しかし、読了感として「今までの村上春樹さんの小説ではない」と感じました。

 

村上春樹さんの小説の特徴としては、「軽い文体で難解なことを伝えること」だと思います。村上春樹さん自身も何かのインタビューで同じことを言われていました。

 

確かに、「女のいない男たち」に入っている小説の文章は少し固い文体になっているとはいえ、今まで通り夏目漱石のような難しい言葉を多く使っているわけではありません。 そういった文章で、現代に特徴的な女のいない男を内面からあぶり出しています。(難解なこと)

 

何かちょっとした違和感を感じるとするとすれば、村上春樹さんが描く時代感でしょうか。ほとんどの小説の時代は、村上さんが生きてきた時代を反映しておられます。しかし、ここ最近の小説の時代感は、現代と過去の狭間で揺れている気がします。

女のいない男は昔よりも現代に顕著な存在だと思います。そのような人物が村上さんの過ごした時代に迷い込んでいます。

 

そういった意味で、小説を読んでいると、現代の中に過去があるような感覚に苛まれます。そのことが、少し文体が固くなったような感じにさせているのでしょうか。

 

それはこの小説だけではなく、ここ最近の小説に対して言えることだと思います。現代の中に過去があるような感覚、つまり過去に取り残された人を村上さんはここ最近で描かれているのかもしれません。

 

同様に「女のいない男たち」では過去に取り残され、過去に固執した男たちが描かれています。村上さんがこの小説で何を伝えたかったのかは分かりませんが、もしすると「女のいない男たち」を通じて、日本に充満している過去への固執を描かれたかったのかもしれません。

 

以上

 

女のいない男たち (文春文庫 む 5-14)

女のいない男たち (文春文庫 む 5-14)