新・観光立国論を書かれたデービット・アトキンソンさんによる新著になります。
デービット・アトキンソンさんはイギリス人ですが、大学では日本学を学び、現在では日本暮らしをされているかなり日本通の方です。
「新・所得倍増論」は、そんなデービット・アトキンソンさんが日本の経済状況に対して、率直な意見を提言してくれている1冊になっています。
この本の書いてある内容は率直な意見なので、日本が好きで好きでたまらなくて、日本に変化は不要であると思われている方には、オススメしません。
なぜなら、「新・所得倍増論」は日本の経済や技術力を礼賛するような本ではなく、むしろ日本に警鐘を鳴らしてくれている本になるからです。
この本で書かれている内容には、ときどき見かける、「日本の技術力は世界に誇れるので、経済は疲弊しない」というムチャクチャな理論はありません。
デービット・アトキンソンさんは、金融系の会社でアナリストとして働かれていたので、数字によるロジックがしっかりしています。
そのため、ムチャクチャ理論なんかはありません。
また、「お金なんて稼がなくていい」みたいなお気楽な本がありますが、そういった類のものでもありません。
だいたい少子高齢化社会を生きていくなかで、お金を稼ぎ続けることは至上命題です。
お金がないと、子供の学費も賄えないですし、年金も払えないです。
どこの社会でも、何かをしようとしたら、お金がいります。
そんなことは幼稚園児でも知っています。(欲しいものがあると、お金を持っている大人にねだります。)
そういった、お金なんて稼ぐ必要ないとうそぶく人たちは、決まってヨーロッパの福祉国家を目指そうと主張されます。
しかし、ヨーロッパの福祉国家は国民一人あたりの生産性が高いからこそ、あのような政策が取れるのです。
まずは日本も、同様に国民一人あたりの生産生を高めることが必要なのです。
国民一人あたりの生産性を挙げること。
それこそが「新・所得倍増論」でデービット・アトキンソンさんが日本に提言してくれていることです。
デービット・アトキンソンさんは、「新・所得倍増論」で日本の現状分析から今後どうしたら良いかという指針まで見せてくれています。
日本人ではないイギリスの方がしっかり日本を見て、本当の姿を教えてくれているのです。
残業してばかりで、生産性が悪いというのは、日本の世界に恥ずべき姿です。
日本人は自らの姿をもう一度確認すべきです。
「新・所得倍増論」は、その恥ずべき姿を認識できる1冊になっています。
以上