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書評: 現代アラブの社会思想(池内恵)

「現代アラブの社会思想」は、現代のアラブがどのような思想で成り立っているかを論じた本になります。

 

もちろん、アラブ地域における代表的な宗教であるイスラム教抜きではアラブ地域の思想は語れません。

日本の仏教に様々な宗派があるように、イスラム教にも様々な宗派があります。

日本のメディアでよく耳にする宗派で言えば、シーア派やスンニ派などがあると思います。

 

しかし、現代アラブの思想はイスラム教のそういった宗派だけの問題だけではありません。

「現代アラブの社会思想」を読めば、イスラム教が時の権力者や統治権力と結びつき、社会思想として宗教を超えたものになっていることが分かります。

この本で取り上げている社会思想は、アルカイーダのような暴力的に変遷しているグループだけではありません。

現代のアラブ世界で生きている人々がどのような思想を持って暮らし、政治にコミットしているかも分かります。

この本では庶民だけではなく、権力者が宗教や思想をどのように利用しているかの説明もあるので、そのあたりの理解も深めることができます。

また、現代アラブ思想けではなく、イスラム教の変遷も丁寧に説明されているので、アラブ地域の思想を考えるときの入門書としても、非常に良いです。

 

「現代アラブの社会思想」と題名にはありますが、著者である池内恵さんがエジプトで暮らされていたみたいなので、事例としてはエジプトのことが若干多いです。

現代アラブがどの地域を指すのかは分からないですが、イスラム教圏である南アフリカの説明はほとんどありません。

 

「現代アラブの社会思想」を読んで思ったのですが、やはり相手の思想を知ろうとしたら、その地域に行くことが近道であると感じました。

その地域に行ったことのない人間がその地域の思想を思い描くのは、難しいです。

こういう本を読んだだけだと、現地の人々が持っている宗教や思想の雰囲気とかニュアンスみたいなものを感じれないです。

 

しかし、そういった雰囲気やニュアンスを感じれなくても、「現代アラブの社会思想」を読むと、現代のアラブ地域の思想を歴史的変遷から簡単に理解することはできます。

今後広がりが予想されるアラブ地域の思想を歴史的変遷から考える際には、「現代アラブの社会思想」はオススメの1冊です。

 

 

 

現代アラブの社会思想 (講談社現代新書)

現代アラブの社会思想 (講談社現代新書)