日本酒を飲みながら、自由を探すプログラマー

プログラマーの雑記になります。書評多し。技術少なし。

書評:虹いくたび(川端康成)

「虹いくたび」は、川端康成による1冊です。

川端康成は、ノーベル文学賞を受賞した日本を代表する小説家の一人です。

あの時代の日本の小説家が書く素晴らしく、現在でも読まれ続けています。

谷崎潤一郎、三島由紀夫、川端康成、安部公房、遠藤周作。

名前を挙げるときりがないほど、日本の文学界に今もなお名前が残り続けている方が多いです。

 

その中の1人である川端康成が書いた小説の1つが、「虹いくたび」になります。

川端康成といえば、「伊豆の踊子」や「雪国」が有名ですが、本当に評価されているのは「片腕」や「眠れる美女」といった前衛的でエロティックな小説です。

20世紀最高の小説家の1人として数えられるガルシア・マルケスは、「眠れる美女」を影響を受けて、小説「わが悲しき娼婦たちの思い出」を書いています。

 

川端康成は、「伊豆の踊子」や「雪国」は日本的な美を描く一方で、「片腕」や「眠れる美女」といった癖の強い小説を書き残しています。

そういった意味では、川端康成は両面性を持った小説家です。

とはいっても、両極端の小説しか書いていないわけではないです。 

川端康成は、両方の性質を持った作品も世に送り出しています。

その中の1つが、「虹いくたび」になります。

 

「虹いくたび」は、建築家である水原の娘3人を描いた作品になります。

その3姉妹は、親が異なっており、複雑な家庭環境を生き抜いています

3姉妹は大人になり、それぞれの運命のような生き方をします。

3姉妹を通して、愛と命のはかなさを描いた作品が「虹いくたび」になります。

 

もし、「虹いくたび」に眠れる美女や片腕のようなエロティックなものを期待されている方がいたら、この作品は少し違うかもしれません。

しかし、「虹いくたび」には、そういった作品にはない日本の文化的要素が見られます。

3姉妹の父親が建築家ということもあるかもしれませんが、特に建築や庭園といった日本的形式美が数多くでてきます。

 

古くからの日本の価値観。

一方で、その価値観が変遷しようとしている時代。

そして、その変遷期を生き抜く3姉妹。

3姉妹の価値観もそれぞれです。

自由恋愛をするものもいれば、世間体を大事にするものもいます。

 

そういった時代を切り取った作品が「虹いくたび」になります。

もう少し評価されてもおかしくない作品です。

 

虹いくたび (新潮文庫)

虹いくたび (新潮文庫)

 

 

以上