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書評: 世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア(入山章栄)

 経営者について語った本は多く出版されていますが、経営学者について語った本はあまり出版されていません。

その数少ない経営学者に語った本の1つが、「世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア」になります。

 

この本の良いところは、科学的な事実と私見をしっかり区別してしるところです。

経営者の本を読むと、自分自身の経験を科学的な事実かのように語っているものが多いです。

しかし、多くの場合、結果が偶然そうなっただけで、それまでの過程はあまり関係ないようなことが多いです。

しかし、その過程をとらえてしまって、こうしたら成功するみたいな本が多くなってしまっています。

確かに、企業によってはその過程があったからこそ、成功したという事実はあるかもしれません。

実際には、多くの場合、何の証拠もないことが多いです。

 

しかし、この本では統計的な事実をふまえて、因果関係を示そうとしています。

世界の経営学者が、どのような視点で世界の企業を見ているかが分かります。

もちろん、統計学の結果がすべてではないです。

この本でも触れているように、人間社会、企業社会というのは、複雑系の世界なので、どうしても統計では計り知れないものが存在します。

特に、IT企業であるGoogleやAmazonといった企業は、統計をとると外れ値になることが多いみたいです。

(データをとると異常な値になってしまって、統計的に測れない値を外れ値といいます。)

しかし、そういった計り知れないものがあるにもかかわらず、統計的な結果は企業経営の実情を示します。

 

そして、こういった経営学者が研究した内容を参考にすることで、企業の判断や内部事情が見えてきます。

この本は2012年に出版された本ですが、なぜ東芝のWHの買収金額があのような額になったのかを教えてくれます。

あの時、東芝は約50億ドルで買収しましたが、買収を検討していた三菱重工は約20億ドルだったそうです。

なぜ、そのような開きがあったのかは直接的には解説されていないですが、なぜそうなったのかのヒントを教えてくれます。

 

「世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア」は経学の最新の知見を教えてくれ(2012年発売なので、少し古くなっているかもしれませんが)、会社の判断をするうえで考慮すべき点が分かります。

特に経営者の方には、つまらない自己啓発本を読む前に、こういった科学的な本をよんでもらいたいです。

そうすると、東芝の失敗は無かったかもしれません。

 

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

 

 

以上